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Q. 起業したら、事業用の銀行口座とクレジットカードは分けた方がいいですか?

  • 1 日前
  • 読了時間: 9分

更新日:22 時間前


起業すると、開業届や青色申告などの手続きには意識が向きやすいですよね。


できれば事業を始める最初の段階で、 もう一つ準備しておいてほしいものがあります。


事業用の銀行口座とクレジットカードです。


特に個人事業では、 事業のお金とプライベートのお金を同じ口座やカードで動かすこともできます。


ただ、できることと、おすすめできることは別です。


あとから事業とプライベートを分けるより、最初から混ぜない方が圧倒的に楽です。


今回は、事業用口座とカードを分けるメリットと、 起業したばかりの人におすすめしたい使い方を説明します。



経営者からの質問

個人事業を始める予定です。 今使っている銀行口座やクレジットカードがあるので、そのまま事業の支払いにも使おうと思っています。 わざわざ事業用の口座やカードを作る必要がありますか? プライベートと一緒でも、あとから経費だけ分ければ問題ないでしょうか?


AI税理士の回答


はい。 できれば、 事業用の銀行口座とクレジットカードは、 プライベートとは分けておくことをおすすめします。


個人事業主の場合、 「必ず事業専用の口座やカードを作らなければならない」 という決まりがあるわけではありません。


ですから、

「今使っている口座やカードをそのまま使って、あとから事業分だけ分ければいいのでは?」

と思いますよね。


もちろん、それでも経理はできます。


ただ、事業が続いて取引が増えてくると、 あとから事業とプライベートを分ける作業が、想像以上に面倒になりやすいんです。



事業とプライベートを混ぜると、「思い出す作業」が増えます



たとえば、クレジットカードの明細にこんな支払いがあったとします。

利用日

利用先

金額

5月10日

ABCファミリーレストラン

2,600円

5月20日

ABCファミリーレストラン

2,300円


一方は仕事の打ち合わせ。

もう一方は家族との食事だったとしましょう。


使った直後なら覚えているかもしれません。

でも、半年後にこの明細を見たらどうでしょう。

「どちらが仕事だったかな?」

となってしまうことがあります。


飲食店だけではありません。

ネット通販、コンビニ、ドラッグストア、ガソリンスタンドなど、 仕事でもプライベートでも利用するお店ほど、あとから見分けにくいんですね。


一つひとつは小さな手間でも、取引が増えるとかなり大変になります。

あとから分けるより、最初から混ぜない。

この方がずっとシンプルです。



税理士に渡せば、全部判断してもらえるわけではありません



もう一つ、知っておいてほしいことがあります。


クレジットカードの明細に、

「ABCファミリーレストラン 2,600円」

と書いてあっても、それだけでは仕事の食事だったのか、家族との食事だったのかは分かりません。


これは税理士でも同じです。


もちろん、

「この支払いは何でしたか?」

と確認することはできます。


でも、事業とプライベートがたくさん混ざっていれば、 それだけ確認する取引も増えてしまいます。


結局、その支出の内容を一番よく知っているのは事業者本人です。


税理士に経理を依頼する場合でも、

「何が事業の取引なのか分かる状態にしておく」

ことは大切です。


1.まず、事業用の銀行口座を一つ決めましょう


起業したばかりなら、 最初からたくさんの銀行口座を使い分ける必要はありません。


まずは、

「この口座を事業のお金の入口と出口にする」

と一つ決めてみてください。


たとえば、

  • 売上の入金

  • 仕入代金

  • 家賃

  • 通信費

  • クレジットカード代金

  • 税金

など、できるだけ事業のお金をそこへ集めます。


そうすると通帳を見るだけでも、

「最近、事業のお金は増えているかな」 「少し減ってきているな」

という変化に気付きやすくなります。


もちろん、預金残高と利益は同じではありません。


借入をすれば預金は増えますし、 大きな設備を買ったり、税金を支払ったりすれば預金は減ります。


それでも、数字にまだ慣れていない起業直後の経営者にとって、 事業用口座はお金の動きを見る最初の入り口になります。



2.生活費は、プライベート口座へ移して使う


個人事業主の場合、 自分自身に法人の役員報酬のような「給料」を払うわけではありません。


ただ、お金を管理する方法として、

毎月一定額を生活費としてプライベート口座へ移す

というやり方は分かりやすいです。


たとえば、

「毎月30万円を生活費として移す」

と決めます。


すると、

事業用口座=事業のお金

プライベート口座=生活のお金

という区別がつきやすくなります。


反対に、必要になるたびに事業用口座から5万円、10万円、20万円と引き出していると、

「この事業で、本当はいくらお金が残っているのかな?」

ということが見えにくくなります。


最初から線を引いておくと、あとがかなり楽になりますよ。



3.預金残高は「金額」より「変化」を見てみましょう


事業用口座を分けたら、ときどき残高の変化も見てみてください。


たとえば、

「去年の同じ時期より預金が増えている」 「反対にかなり減っている」

という変化です。


もちろん、

  • 借入をした

  • 大きな設備を買った

  • 税金を支払った

  • 売掛金が増えている

といった事情によっても預金は動きます。


ですから、

預金が増えた=儲かった

預金が減った=赤字

とは判断できません。


でも、

「なぜ増えたんだろう?」 「なぜ減ったんだろう?」

と考えるきっかけにはなります。


大切なのは残高を見るだけではなく、残高が動いた理由を考えることです。


ここから始めるだけでも、少しずつ事業のお金を見る習慣がついてきます。



4.クレジットカードも事業用を一枚決める


銀行口座と同じように、クレジットカードも事業用を一枚決めておくと便利です。


「事業用」といっても、必ずしも商品名に「ビジネスカード」と付いているカードでなければならない、という意味ではありません。


この一枚は事業の支払いだけに使う

というカードを決める、ということです。


仕事で使うものは、できるだけそのカードで支払います。


すると明細を見ただけでも、

「今月はどんな支出があったのか」 「カードでどのくらい使ったのか」

を確認しやすくなります。


あとから私的な支出を一つずつ取り除く作業も減ります。


会計ソフトとカードを連携する場合にも、 事業取引だけが入ってくる方が管理しやすいですよね。



5.完璧を目指すより、基本ルールを決めておく


実際に事業をしていれば、

「今日は事業用カードを持っていなくて、個人のカードで払ってしまった」

ということもあると思います。


一度でも混ざったらダメ、という話ではありません。


大切なのは、普段の基本ルールを決めておくことです。


たとえば、

売上 → 事業用口座

振込支払い → 事業用口座

カード払い → 事業用カード

生活費 → プライベート口座・カード

と決めます。


この基本ルールがあるだけで、お金の流れはかなり整理されます。

起業したばかりだからこそ、最初にこの仕組みを作っておくことをおすすめします。



おまけ:カードで払っても、領収書等は捨てないでくださいね


最後に、クレジットカードを使うときの大切な注意点です。

「カード明細があるから、レシートや領収書はもういらない」と思わないでください。


カード会社の利用明細は、

「いつ、どこで、いくらカードを利用したのか」

を確認するにはとても便利です。


でも、それだけですべての税務上の保存要件を満たせるとは限りません。


事業の支払いをしたときは、購入先から受け取った

  • レシート

  • 領収書

  • 請求書

などもきちんと受け取り、保存しておきましょう。


消費税の仕入税額控除でも、一般的なカード会社の利用明細だけでは、原則としてインボイスの保存要件を満たしません。


また、ネット通販などで領収書や請求書をPDFやWeb上で受け取った場合は、電子データとして保存する必要があります。


ですから、

ここまでをセットにしてください。


カードに支払いを集約することと、証拠となる書類を捨ててよいことは別の話です。


これはぜひ覚えておいてくださいね。



現役税理士からの補足


私は、起業する方にはかなり早い段階で「事業用の通帳とカードを作ってください」とお伝えしています。


公私が混在している明細を見ると、結局ご本人が、

「これは何に使ったお金だったかな」

と一件ずつ思い出すことになります。


そして、税理士がクレジットカード明細だけを見て、それが事業経費なのかプライベートなのかを正確に判断することはできません。


確認せずに処理するのであれば、それは判断ではなく推測になってしまいます。 最終的にその影響を受けるのは納税者本人です。


反対に、事業の入出金がある程度まとまっていれば、 通帳やカード明細そのものが、経営者にとって分かりやすいお金の記録になります。


私自身も、前年の同じ時期と比べて預金残高がどう動いているかを意識して見るようにしています。もちろん、残高だけで経営状態を判断するわけではありません。


でも、

「去年より減っている。なぜだろう?」

と考える入口としては、とても分かりやすいんですよね。


そしてもう一つ。

私は、起業したばかりなら口座やカードを増やしすぎない方がいいと思っています。


便利そうだからと何枚も作って取引を分散させるより、まずはシンプルに始める。

その方が、自分の商売のお金の流れを理解しやすくなります。



経営者に気付いてほしいこと


事業用の口座やクレジットカードを分けても、 それだけで税金が安くなるわけではありません。


これは節税テクニックではありません。

でも、事業を管理する仕組みとしては、とても価値があります。


事業のお金と、自分のお金を分ける。


それだけで、

  • 経理が分かりやすくなる

  • 税理士との確認作業が減る

  • 私的支出が混ざりにくくなる

  • お金の増減を確認しやすくなる

  • 自分が事業でいくら使っているか分かりやすくなる

というメリットがあります。


そして何より、

「事業のお金は、自分のお財布とは別のお金だ」という感覚を持ちやすくなります。


これは、これから長く事業を続けていくうえで大切な感覚です。


起業したばかりだからこそ、最初に仕組みを作ってしまいましょう。


あとから一年分のお金を整理するより、ずっと簡単ですよ。

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