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Q. 合同会社と株式会社は何が違いますか?設立費用が抑えられる合同会社でよいのでしょうか?

  • 1 日前
  • 読了時間: 9分

会社を設立しようと調べていると、

「株式会社にするか、合同会社にするか」で迷う人は多いと思います。


合同会社は株式会社より設立費用を抑えやすく、

ひとり社長で事業をするには使いやすい会社形態です。


では、設立費用が安いなら合同会社でよいのでしょうか。


私は、設立するときの費用だけではなく、

5年後、10年後にどんな会社になっているかまで少し考えて決めた方がよいと思います。


特に大きな違いが出てくるのが、将来、人を経営側に入れたくなったときです。





経営者からの質問

合同会社と株式会社の違いを教えてください。 最近、株式会社ではなく合同会社を設立して事業を行う人が増えたように感じます。 設立費用が安いこと、合同会社では「代表取締役」と名乗れないことは知っています。 ただ、それ以外にどのような違いがあるのでしょうか。 メリット、デメリット、思わぬ落とし穴があれば教えてください。 また、どのような人が合同会社の設立に向いているのか、向き不向きも知りたいです。


AI税理士の回答


まず結論からお話しします。


合同会社は、ひとり社長や固定された少人数で会社を運営するのであれば、とても合理的な会社形態です。


一方で、将来従業員を増やし、その中から取締役や専務などの経営幹部を作っていきたいのであれば、株式会社の方が使いやすい場面が増えてきます。


そして、その違いを理解するために最初に知ってほしいことがあります。


合同会社でいう「社員」は、従業員という意味ではありません。

会社のオーナー側の人です。


ここが、株式会社との大きな違いです。


合同会社の「社員」は普通の社員ではありません


「社員」と聞くと、会社で働いている従業員をイメージしますよね。


でも、合同会社では意味がまったく違います。


たとえば、あなたが一人で合同会社を設立して社員になっているなら、あなたがその会社のオーナーです。


そこへ友人や兄弟、右腕の従業員を新たに「社員」として入れるということは、単なる昇進ではありません。


その人を会社のオーナー側に入れるということです。


少し分かりにくいので、株式会社に置き換えて考えてみましょう。



株式会社に置き換えると分かりやすい



たとえば、あなたが株式を100%持っている株式会社を経営しているとします。

長年働いてくれたAさんが、とても頼りになる存在になりました。


そこで、

「Aさんを取締役にしよう」

「専務取締役という肩書きを付けよう」

と考えたとします。


株式会社なら、Aさんに株式を渡さなくても取締役にすることができます。

あなたが株式を100%持ったまま、Aさんには取締役として経営に参加してもらう。


つまり、

会社の所有権は渡さない。 でも、役員としての地位や肩書きは与える。

ということができます。


一方、合同会社でAさんを「社員」として迎えるのは、これとは少し違います。


分かりやすく株式会社に置き換えるなら、


Aさんに株式の一部を持ってもらったうえで、 経営側にも入ってもらうようなイメージです。


法律上まったく同じ制度という意味ではありません。


ただ、起業する人が違いを理解するには、このくらいのイメージが分かりやすいと思います。


単に、

「今日から取締役になってください」

という話よりも、一段も二段も関係が深くなるわけです。



中小企業でも「従業員を役員にする」ことは十分あり得ます



「うちはそんなに大きな会社にするつもりはないから関係ない」

と思うかもしれません。


でも、中小企業でも従業員が増えて会社が成長すれば、役員を増やすことはあります。


長年働いてきた従業員を取締役にする。

営業責任者を取締役営業部長にする。

社長の右腕を専務取締役にする。


こうしたことは、大企業だけの話ではありません。


実質的には今までと同じように会社で働いていても、社内でのポストや取引先からの見え方を考えて、役員に登用することがあります。


名刺に「営業部長」と書かれているのか、

「取締役営業部長」と書かれているのかでも、

取引先の受け止め方が変わることはあります。


株式会社なら、株式を渡さずに、その人を取締役や専務取締役にすることができます。


ここは、従業員を雇って組織を作っていく会社にとって、意外と大きな違いです。



合同会社では「人を入れる」意味が重くなります



合同会社では、株式会社の取締役とまったく同じような役員ポストはありません。


ですから、

「右腕だから経営側に入れよう」

と合同会社の社員にすると、単なる肩書きの変更では済みません。


会社のオーナー側に入ってもらう話になります。

もちろん、

「兄弟だから大丈夫」

「長年一緒に働いているから大丈夫」

「親友だから大丈夫」

というケースもあるでしょう。


でも、会社の権利関係は、仲がよいときだけを考えて決めない方がよいと思います。


売上が伸びなくて揉めることもあります。

逆に、会社が大きく儲かるようになって揉めることもあります。

方針が合わなくなることもあります。

どちらかが会社を辞めたくなることもあります。


そのとき、

単なる役員なのか、会社のオーナー側の人なのか

によって、話の重さが変わってきます。



抜けてもらうときにも違いが出ます



株式会社で、株式を持っていない取締役に辞めてもらうのであれば、基本的には役員としての地位をどうするかという話です。


もちろん、実際には任期や解任、退職金など別の問題はあります。


ただ、その人が株主でなければ、会社の所有権まで整理する必要はありません。


一方、合同会社の社員はオーナー側の人です。

そのため、退社するときには、その人が持っている会社に対する権利をどう整理するかという問題も出てきます。


ここで初めて「持分」という言葉が出てきます。


持分とは、簡単に言えば、合同会社の社員がその会社に対して持っているオーナーとしての権利です。


株式会社でいう株式に近いもの、とイメージすると分かりやすいと思います。


合同会社の社員が退社する場合には、この持分の払戻しが問題になることがあります。


たとえば、2人で小さく会社を作ったときは、会社にほとんど財産がなかったとします。


その後10年間事業を続けて利益が蓄積され、会社に多くの財産が残るようになりました。


そこで一人が会社から抜けることになれば、

「では今日で退任ですね。お疲れさまでした」

だけでは済まない可能性があります。


オーナー側から抜ける話でもあるからです。


合同会社では、人を入れるときだけでなく、

抜けてもらうときまで考えておく必要があります。



では、合同会社にはどんなメリットがあるのでしょうか



ここまで読むと、合同会社は使いにくい会社のように感じるかもしれません。


そんなことはありません。


合同会社には、はっきりしたメリットがあります。


まず、設立費用を抑えやすいことです。


設立登記の登録免許税の最低額は、株式会社が15万円、合同会社が6万円です。


さらに、株式会社は設立時に定款の認証が必要ですが、合同会社には株式会社と同じ定款認証がありません。


小さく法人を作りたい人にとって、この差は無視できません。


また、ひとり社長や固定された少人数で運営するのであれば、合同会社のシンプルな仕組みはむしろメリットになります。


人が入ったり抜けたりする予定がほとんどないのであれば、株式会社のように役員構成を柔軟に設計できるメリットも、それほど必要ないからです。



税金が安くなるから合同会社にする、ではありません



もう一つ、よくある誤解があります。

「合同会社の方が税金も安いんですよね?」

というものです。


株式会社でも合同会社でも法人です。

法人税、法人住民税、法人事業税、消費税などについて、合同会社だから特別に大きく税負担が軽くなるわけではありません。


したがって、

節税のために合同会社を選ぶ

という考え方は少し違います。


合同会社を選ぶ理由は、税金というより、設立費用や会社の運営方法、将来の組織の作り方です。



合同会社が向いているのはこんな会社です



私なら、ひとりで事業を続ける予定で、将来的にも経営メンバーを増やす可能性が低い人なら、合同会社を十分検討してよいと思います。


夫婦や家族など固定された少人数で運営し、そのメンバーが大きく変わらない会社も合同会社と相性がよいでしょう。


会社の肩書きや見え方よりも、設立費用や運営のシンプルさを重視する人にも向いています。


反対に、今後従業員を雇って組織を作っていきたい会社なら、少し先まで考えた方がよいと思います。


その従業員の中から、

「この人を将来、取締役にしたい」

「専務として会社を支えてもらいたい」

という人が出てくるかもしれません。


そう考えると、

オーナー権を渡さずに役員へ登用できる株式会社は使いやすい

というメリットが見えてきます。



判断するときは、今の会社ではなく5年後を考える



会社を設立するときは、まだ売上も小さく、自分一人しかいないことが多いと思います。


その状態だけを見ると、

「株式会社にする必要なんてないよね」

と思うかもしれません。


でも、会社は設立して終わりではありません。


5年後には従業員が5人いるかもしれません。

10人、20人になっているかもしれません。

その中から、社長の右腕になる人が出てくるかもしれません。

逆に、ずっと自分一人で仕事をしているかもしれません。


どちらが正しいという話ではありません。


大切なのは、

自分がどんな会社を作りたいのか

です。



現役税理士からの補足


私が合同会社と株式会社のどちらがよいか考えるとき、今ひとりで事業をしているかどうかだけでは判断しません。


従業員を雇って会社を大きくしていくつもりがあるなら、将来、その中から取締役や専務といった経営幹部を作る可能性があります。中小企業でも、株式を持たせずに、社内でのポストや取引先からの見え方を考えて従業員を役員にすることはあります。


そう考えると、

所有権を渡さずに役員だけ増やせる株式会社は、組織を作っていく会社には使いやすい

と私は考えています。


逆に、自分一人で仕事を続ける会社なら、合同会社はかなり合理的な選択肢です。



経営者に気付いてほしいこと


合同会社は、株式会社より格下の会社ではありません。

ひとり社長や固定された少人数で運営する会社なら、設立費用を抑えられ、仕組みも比較的シンプルです。


ただ、

「株式会社より設立費用が安いから合同会社」

これだけを理由に決めるのはおすすめしません。


会社を作るときに考えてほしいのは、設立費用の数万円の差だけではなく、

将来、誰を経営側に入れる可能性があるのか

ということです。


合同会社で人を「社員」に入れるということは、普通の従業員を増やすことでも、単に取締役へ昇進させることでもありません。


その人を会社のオーナー側に入れるということです。

株式会社でいえば、役員にするだけではなく、株式の一部も持ってもらうようなイメージです。


その違いを理解したうえで、

自分一人、または固定されたメンバーで運営するなら合同会社。


従業員を雇って組織を作り、その中から将来の経営幹部を育てていくなら株式会社。


このあたりを一つの判断基準にしてみてください。


会社は、設立するときよりも、設立した後の方がずっと長く使う器です。

最初の費用だけではなく、5年後、10年後にどんな会社になっていたいのかまで考えて選びましょう。

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