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資本金1円で会社は作れる。では、いくらにすべき?

8月24日
読了時間: 8分

更新日:9月2日


法人を設立しようと調べていると、 「今は資本金1円でも会社を作れる」 という情報を見かけます。


それを見ると、

「だったら1円でいいのでは?」

と思いますよね。


法律上できるかどうかだけなら、その通りです。


でも、会社を作れる金額と、会社を無理なくスタートできる金額は別の話です。


資本金は、見栄で大きくするものでも、できるだけ小さくするゲームでもありません。

会社を作った後のお金の流れから考えてみましょう。





経営者からの質問

法人は資本金1円でも設立できると聞きました。 それなら、資本金は1円でいいのでしょうか? できるだけ手元にお金を残しておきたいので、 資本金は少ない方がよい気もします。 実際には、いくらくらいで法人を設立するのがよいですか?


AI税理士の回答

結論から言うと、 資本金1円で会社を作ること自体はできますが、 特別な理由がなければ私はおすすめしません。


会社法では最低資本金制度が廃止されているため、株式会社でも資本金1円で設立できます。


ただし、

「1円で会社を作れる」と「1円を資本金にするのが適切」は、まったく別の話です。


小規模なサービス業などであれば、私はまず100万円~300万円程度を検討の出発点にします。


ただし、100万円や300万円に決まりがあるわけではありません。


本来は、事業を始めるために必要なお金から逆算して決めます。



まず考えるのは「資本金はいくら?」ではありません



先に考えたいのは、

会社を始めてから売上が安定するまで、いくら必要なのか

です。


会社を設立すると、すぐにいろいろなお金が出ていきます。


パソコン、会計ソフト、ホームページ、広告費、仕入、外注費、事務所の家賃、人件費、社会保険料など。


店舗を出すのであれば、保証金、内装工事、設備なども必要になります。


ですから、

開業時に必要な一時的な支出+ 売上が安定するまでの運転資金+ 予備資金

をまず計算します。


たとえば、事務所を借りずに小さなサービス業を始めるとして、

  • 開業時のパソコンやシステムなど 30万円

  • 毎月の支出20万円×6か月 120万円

  • 予備資金 50万円

なら、ひとまず200万円程度の資金を用意しておきたい、と考えることができます。


ここまで計算してから、

「では、この200万円をどう準備するのか」

を考えるわけです。


必要なお金を全部「資本金」にする必要もない


ここも大切です。


創業者が200万円を用意できるからといって、必ず200万円すべてを資本金にしなければならないわけではありません。


会社へお金を入れる方法には、大きく分けると次のようなものがあります。

資金の入れ方

会社から見た性質

特徴

資本金

自己資本

原則として返済期限がなく、会社の財務基盤になる

社長からの借入

負債

役員借入金などとして会社が社長から借りる

金融機関からの借入

負債

元本返済と利息の支払いが必要


たとえば200万円を用意するとして、


「200万円すべて資本金」

という方法もありますし、


「資本金100万円、残り100万円は社長から会社への貸付け」

という考え方もあります。


どちらが絶対に正しいということではありません。


ただし、資本金1円にして、必要なお金のほとんどを社長からの借入金にすると、会社の自己資本は非常に薄くなります。


会社設立直後に赤字が出れば、すぐに債務超過になる可能性もあります。


ですから、資本金を極端に小さくすることにもデメリットがあります。



資本金として入れたお金は、事業に使って大丈夫


「資本金にすると、そのお金は使えなくなるのでは?」

と心配する必要はありません。


会社へ資本金として入れたお金は、

  • パソコンを買う

  • 家賃を払う

  • 広告を出す

  • 仕入代金を払う

  • 外注費を払う

など、会社の事業のために使えます。


ただし、会社へ入れた瞬間、そのお金は社長個人のお金ではなく会社のお金です。

「ちょっと生活費が足りないから10万円戻そう」

というように、個人の財布のように自由に出し入れすることはできません。


だからこそ、会社に入れる資金だけでなく、社長個人の生活資金も別に残しておく必要があります。



小さな会社なら100万円~300万円は一つの目安


では、具体的にいくらにすればよいのでしょうか。


私なら、小規模な起業では次のように考えます。

ほとんど経費のかからない副業的な法人なら、数十万円というケースも考えられます。

事務所や大きな設備が不要な小規模サービス業なら、まず100万円~300万円程度。


仕入、広告、人件費などが先行する事業なら、それ以上の資金が必要になるでしょう。

店舗や大きな設備投資がある事業なら、資本金だけ決めても意味がありません。


必要な総資金と、そのうち自己資金と借入をいくらにするのかまで一緒に考える必要があります。


つまり、

「会社を作るなら資本金300万円」

というルールがあるわけではないのです。


100万円~300万円という数字は、あくまで小規模な会社で考え始めるための目安です。



融資を受けるなら「資本金と借入額の比率」だけを見ない


創業融資を考えている場合も、

「500万円借りたいから資本金は200万円」

というような機械的な決め方はおすすめしません。


金融機関が確認するのは、資本金だけではありません。



事業を始めるために総額いくら必要なのか。

自分ではいくら準備したのか。

いくら借りるのか。

その借入を、事業の利益から返済できるのか。

この組み合わせが重要です。



日本政策金融公庫の創業計画書でも、「必要な資金」と「調達方法」を並べて記載する形式になっており、自己資金が少なく借入依存の資金計画になっていないかを確認するよう案内されています。




ですから、

「資本金が少ないから融資が受けられない」

とも、

「資本金を増やせば融資が受けられる」

とも単純には言えません。




大切なのは、創業者自身がどれだけ準備し、その事業にいくら必要なのかを説明できることです。


資本金1円にしても、会社設立費用が1円になるわけではない


ここも誤解しやすいところです。


資本金を1円にしたからといって、会社設立費用までほとんどかからなくなるわけではありません。



そのため、小規模な会社で資本金を100万円から1円に減らしたところで、株式会社の登録免許税が15万円から安くなるわけではありません。


「資本金を小さくすれば設立費用が大幅に安くなる」

という話でもないのです。



資本金1,000万円には税務上の意味がある


一方で、資本金は大きければ大きいほどよいわけでもありません。


特に注意したいのが1,000万円です。


設立した法人に基準期間がない場合でも、その事業年度開始時点の資本金または出資金が1,000万円以上なら、原則として消費税の免税事業者にはなりません。


したがって、

「せっかくだから資本金1,000万円にしておこう」

と安易に決めるのはおすすめできません。


なお、反対に資本金を1,000万円未満にすれば必ず2年間消費税が免税になる、という意味でもありません。


インボイス登録をする場合や、一定の新設法人に該当する場合などには、資本金1,000万円未満でも消費税の納税義務が生じることがあります。


また、法人住民税の均等割も資本金等の額や従業者数によって区分されます。

そのため、小規模な会社で特別な理由がないのであれば、設立時から資本金を大きくしすぎる必要もありません。



では資本金1円は絶対にダメなのか


もちろん、絶対にダメではありません。


ほとんど資金を必要とせず、借入も予定しておらず、法人格だけが必要という事業なら、かなり小さな資本金で設立することも考えられます。


ただ、それでも私は、

「1円で作れるから1円」

とは考えません。


なぜ1円なのか説明できないのであれば、単に会社法上の最低ラインを選んだだけだからです。


資本金30万円でも、100万円でも、300万円でも構いません。


大切なのは、その数字に理由があることです。



現役税理士からの補足


小規模なサービス業で特別な事情がなければ、私はまず100万円~300万円程度を検討の出発点にします。


ただ、本当に確認したいのは資本金額そのものではありません。 売上が入るまで何か月耐えられるのか、 会社にいくら必要なのか、 個人の生活資金をどれだけ残すのか、 借入をするのか。


この数字が分からないまま資本金だけ決めても、あまり意味がありません。


「1円で設立できるか」は法律の話ですが、「いくらで始めるべきか」は資金繰りの話です。



経営者に気付いてほしいこと


資本金1円でも会社は作れます。


でも、会社経営で大切なのは、

いくらで会社を作れるかではなく、 いくらあれば会社を安全に始められるか

です。


資本金を決めるときは、

必要な開業資金、 売上が安定するまでの運転資金、 社長個人の生活資金、 創業融資の予定、 消費税などの税務上の影響を一緒に考えてください。


小規模な起業なら100万円~300万円程度は一つの出発点になります。


ただし、それを答えとして丸暗記するのではなく、自分の事業に必要なお金から逆算することが大切です。


会社経営は、設立した日から始まります。

最初から体力1でスタートする必要はありません。


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