Q. 個人事業で起業する場合、何から準備すればよいのでしょうか?
- 1 時間前
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個人事業は、法人に比べると比較的始めやすいですよね。
そのため、 「まず開業届かな?」 「会計ソフトを入れた方がいいのかな?」と、 手続きや道具から考えたくなる方も多いと思います。
もちろん、それも必要です。
ただ、最初に確認してほしいのは、もう少し手前のことです。
この事業で生活していけそうか。 売上が思うように入らない時期があっても、しばらく耐えられそうか。
まずは、そこから一緒に整理してみましょう。

経営者からの質問
個人事業で起業しようと思っています。 ただ、何から準備したらいいのか分かりません。 開業届ですか? 会計ソフトですか? 銀行口座ですか? 税理士さんへの相談ですか? 具体的に教えてください。
AI税理士の回答
はい、最初は迷いますよね。
開業届、名刺、ホームページ、SNS、会計ソフト……。
起業準備として思い浮かぶものは、たくさんあります。
でも、私なら最初にこうお伝えします。
まず確認してほしいのは、手続きではなく「お金」です。
「毎月いくら必要なのか」 「売上が少なくても何か月くらい続けられそうか」を確認する。 ここが個人事業の起業準備のスタートです。
順番に見ていきましょう。
1.最初に「生活に必要なお金」と「事業に必要なお金」を確認しましょう
まずは、毎月どのくらいのお金が出ていくのかを確認してみましょう。
難しい計算は、まだ必要ありません。
最初はざっくりで大丈夫です。
たとえば生活費なら、
住宅費、食費、水道光熱費、通信費、保険料、教育費、ローン返済などですね。
次に、事業で必要になるお金です。
事務所家賃、広告費、通信費、会計ソフト、仕入代金、外注費などが考えられます。
例えば、
毎月の生活費 30万円
毎月の事業支出 10万円
なら、毎月40万円ほどのお金が出ていくことになります。
もし売上がほとんど入らない状態が6か月続けば、単純計算で240万円です。
もちろん、実際には税金や社会保険料、設備購入などもありますので、 これだけで十分という意味ではありません。
ここで知ってほしいのは、
「開業するためのお金」だけではなく、 「軌道に乗るまでのお金」も必要だということです。
起業した途端に、予定どおり売上が入ってくれればよいのですが、 そうならないこともありますよね。
だから、私は起業前の方には、
「もし半年、思ったほど売れなかったらどうでしょう?」
と考えてみてほしいと思っています。
ガソリン残量を確認せずに高速道路へ入るのは、少し不安ですよね。
起業も同じです。
勢いは大切ですが、ガソリンは勢いでは増えてくれません(笑)
2.次に「毎月いくら事業から残したいのか」を考えます
手元資金を確認したら、 次は毎月どのくらいのお金を事業から生み出す必要があるのかを考えてみましょう。
ここで、ひとつ気を付けてほしいことがあります。
それは、
売上だけで考えないことです。
たとえば、
「月商100万円あれば大丈夫そう」
と思ったとします。
でも、売上100万円に対して、 仕入れや外注費などで70万円出ていく事業なら、 残るのは30万円です。
反対に、売上60万円でも、 大きな仕入れがほとんどない仕事なら、 手元に残る割合は大きくなります。
さらに、その残ったお金から事業の固定費を払い、 税金や社会保険料にも備えなければなりません。
ですから、
「売上はいくら欲しいか」ではなく、 「最終的にいくら残す必要があるか」から考えてみてください。
売上が大きいことと、利益が出ていること。
利益が出ていることと、銀行にお金が残っていること。
これは、似ているようで少しずつ違います。
ここは起業したあとも、ずっと大切になるところです。
3.会社を辞めて起業するなら、健康保険と年金も確認しておきましょう
会社員から個人事業へ移る方は、 退職後の社会保険も忘れずに確認しておきたいところです。
健康保険には、一般的に、
国民健康保険に加入する
以前の健康保険を任意継続する
条件を満たせば家族の健康保険の扶養に入る
といった選択肢があります。
また、会社員を辞めることで、国民年金への切り替えが必要になる場合もあります。
ここは、どうしても後回しになりやすいんです。
開業すると、
「まず仕事を取らなきゃ」 「請求書も作らなきゃ」 「ホームページも必要かな」
と、目の前のことに意識が向きますよね。
その結果、
「あれ、健康保険ってどうなっていたっけ?」
となってしまうことがあります。
派手な準備ではありませんが、こういう手続きこそ、退職前に確認しておくと安心です。
4.事業を始めたら、必要な税務手続きを確認します
お金の準備を確認したら、次は税務署への手続きです。
代表的なものに、
個人事業の開業・廃業等届出書
所得税の青色申告承認申請書
があります。
2026年1月1日以後に開業した場合、開業届の提出期限は、開業した年分の所得税の確定申告期限までとされています。
一方で、青色申告承認申請書には別の期限があります。
原則としてその年の3月15日まで、 新しく事業を始めた日が1月16日以後なら、事業開始の日から2か月以内です。
ですから、
「開業届はまだ先でいいみたいだから、税務手続きは全部あとでいいかな」
とは考えない方が安心です。
青色申告を利用したいのであれば、期限だけは早めに確認しておきましょう。
また、
家族に給与を払いたい
インボイス登録を考えている
従業員を雇う
という場合には、追加で確認すべき手続きがあります。
ただし、全部の起業家に全部の手続きが必要なわけではありません。
自分に関係するものだけ確認すれば大丈夫です。
「起業するなら、これもあれも全部やらなきゃ」と思うと大変ですからね。
必要なものを、順番に整理していきましょう。
5.事業用の銀行口座とクレジットカードを分けておきましょう
次は、お金の通り道を整えます。
これは、できれば開業直後からやっておいてほしいことです。
私は、個人事業を始めるなら、 事業用の銀行口座とクレジットカードをプライベート用と分けること をおすすめしています。
屋号付きの銀行口座でなくても構いません。
個人名義でも、
「この口座は仕事専用」
と決めて使えば、それだけでかなり管理しやすくなります。
たとえば、
スーパーの買い物、子どもの習い事、仕事用のパソコン、売上入金、外注費、スマートフォン代……。
これらが全部同じ口座やカードに混ざっていたら、あとで会計をするときに、一つずつ確認しないといけません。
会計ソフトがどれだけ便利になっても、 元のお金の流れが混ざっていれば、最後は人が確認することになります。
これは最初にやっておくと、後々かなり助けられますよ。
6.請求・入金・領収書の流れも、最初に決めてしまいましょう
次に考えたいのが、資料の管理です。
といっても、最初から完璧なルールを作る必要はありません。
最低限、
売上なら、
請求する → 入金を確認する
経費なら、
支払う → 領収書や請求書を保存する
という流れが、あとから追えるようにしておきましょう。
起業したばかりの方から、
「領収書は全部取ってあります」
と言われることがあります。
もちろん、それは大切です。
ただ、本当に大切なのは、領収書を持っていることだけではありません。
何の取引なのか、あとから分かることです。
半年後、一年前の取引を思い出すのは、意外と難しいものです。
そのときは絶対に覚えていると思うんですけどね(笑)
年末に一年分をまとめて整理するより、最初から簡単なルールを決めておく方が、ずっと楽です。
7.会計ソフトは、そのあとで大丈夫です
ここまで準備できたら、会計ソフトを考えてみましょう。
会計ソフトは大切ですが、私は順番も大切だと思っています。
先に会計ソフトを決めてから、
「さて、どうやって管理しようかな」
ではなく、
お金と資料の流れを決めてから、それに合った会計ソフトを使う。
この方が自然です。
今の会計ソフトはとても便利です。
銀行口座やクレジットカードを連携して、入力作業を減らすこともできます。
ただし、
会計ソフトを契約すれば、経理のことを何も考えなくてよくなるわけではありません。
ここは少し注意しておきたいところです。
少なくとも、
今月の売上はいくらだったか
どのくらい経費がかかったか
利益は出ているか
銀行にいくら残っているか
これから大きな支払いはないか
このくらいは、自分でも見られるようになってほしいと思います。
経営者が経理の専門家になる必要はありません。
でも、自分の事業のお金を自分で確認できることは、とても大切です。
8.分からないところだけ、専門家に聞くという方法もあります
個人事業で小さく始めるのであれば、 最初から必ず税理士と毎月の顧問契約を結ばなければならないわけではありません。
自分で帳簿をつけて、自分で確定申告をする方もいます。
それで問題なく進められる方もいます。
ただ、
個人事業と法人のどちらがよいか迷っている
インボイス登録をした方がよいか分からない
家族に給与を払いたい
自宅を事務所として使いたい
車を仕事とプライベートの両方で使う
高額な設備を購入する予定がある
融資を受けたい
このような場合は、一度専門家へ確認しておくと安心です。
私は、税理士は必ずしも「全部任せる人」でなくてもよいと思っています。
自分では判断しにくいところだけ確認する。
そういう使い方でもいいんです。
むしろ、起業前はまだ選択できることが多い時期です。
始めたあとに、
「最初に知っていれば、違う方法を選べたのに」
となるのは、少しもったいないですよね。
迷っていることがあるなら、その部分だけでも先に確認しておくとよいと思います。
9.個人事業を始めるなら、この順番で確認してみましょう
最後に、もう一度まとめますね。
1.毎月の生活費を確認する
生活するために、毎月いくら必要なのかを把握します。
2.事業から出ていくお金を確認する
家賃、仕入れ、広告費、通信費、外注費などを確認します。
3.手元のお金で何か月続けられるか確認する
売上が予定どおり入らなかった場合も考えてみます。
4.事業から毎月いくら残したいか考える
売上だけでなく、支払い後に残るお金を見ます。
5.会社を辞めるなら社会保険を確認する
健康保険や年金の手続きを忘れないようにします。
6.必要な税務手続きを確認する
開業届、青色申告など、自分に必要なものを確認します。
7.事業用口座・カード・資料保存の仕組みを作る
プライベートのお金と混ざらないようにします。
8.会計処理の流れを作る
できれば毎月少しずつ処理できる状態にしておきましょう。
9.分からないところだけ専門家に確認する
全部を任せる必要はありません。
でも、大切な判断を分からないまま進めないことは大事です。
現役税理士からの補足
私個人としては、個人事業で起業するなら、 最初に一度だけでも税理士へ相談してみることをおすすめしています。
必ず顧問契約をする必要はありません。 開業時の相談だけでも十分です。
仮に相談して新しい発見がなかったとしても、 「自分が考えていた方向性で大きな問題はなかった」と確認できます。
もう一つ、自分で経理をするなら、 「会計ソフトがあるから大丈夫」とは考えない方がいいです。
会計ソフトを使っていても、処理がかなり間違っているケースは実際にあります。 自分で記帳するなら、起業を機に簿記3級程度の基礎を学んでみるのもおすすめです。
経営者に気付いてほしいこと
個人事業は、比較的簡単に始めることができます。
だからこそ、
「まず始めてみて、分からないことはあとで考えよう」
となりやすいのかもしれません。
でも、事業を始めることと、事業を続けることは別です。
起業前には、
どのくらいのお金が必要なのか。 売上が思うように上がらなくても、どのくらい耐えられるのか。
まずここを確認してほしいと思います。
そして、税金や会計について分からないことがあるなら、 すべて自分だけで判断する必要はありません。
最初に一度専門家へ確認して、そのうえで、
「これは自分でできそうだ」
と思えば、自分でやってみればいいんです。
ただし、自分で経理をするのであれば、 会計ソフトだけに任せきりにしないことも大切です。
会計ソフトは便利ですが、経営者に代わって事業を理解してくれるわけではありません。
売上はいくらあるのか。 経費はいくらかかっているのか。 利益はいくら残っているのか。 銀行にいくらお金があるのか。
こうした数字を、自分でも少しずつ分かるようにしていってください。
最初から完璧である必要はありません。
分からないところは専門家に聞く。
必要な知識は少しずつ身につける。
そして、自分の事業のお金は自分でも確認する。
事業を始める準備だけでなく、自分で事業を管理していける準備までしておく。 そこまでが起業準備です。



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