利益はどこに消えた???
- クロ
- 7月17日
- 読了時間: 3分
更新日:7月23日

はじめに
別の記事で、利益とお金の増減は一致した動きをしないと言うお話をしました。
この記事では、具体的にどうしてお金の動きと利益の動きが一致しないのかについて見ていきたいと思います。
答えは貸借対照表の中にある
利益が10,000,000円出た!となると、普通はお金(預金残高)が10,000,000円増えた!という風に反射的に思ってしまいますよね。
僕自身も条件反射でお金が10,000,000円増えたと感じてしまいます。
ここで、僕は冷静になって(笑)、貸借対照表を見に行きます。
実は、経営者やお金を管理する人にとって、貸借対照表はとても重要な決算書類です。
貸借対照表がどうなっているかというと、会社の場合、貸借対照表の左側が資産の部、右側の上半分が負債の部、下半分が純資産の部という形で構成されています。イメージ図は下記の通りです。この貸借対照表を見ると、その会社がどんな資産にどのくらいお金をつぎ込んでいて、どのくらい負債があるのか、今までどれだけ稼いできたかというのが分かります。
このうち10,000,000円の利益を得ることでたというときは、右下の純資産の部の増加したということです。
ご覧の通り、貸借対照表は四角形の形をしていて、必ず左右の大きさ(金額)が一致します。
右下の純資産の部が10,000,000円大きくなれば、資産の部が10,000,000大きくなるか、あるいは、負債の部が10,000,000円凹むかと言うことになります。
※期首(事業をスタートさせたとき)時点の貸借対照表が上記の状態で、1年間事業をして10,000,000円の利益を得たとします。まずは、期首の貸借対照表のイメージ図です。
1年間事業をして10,000,000円の利益を得て、その全額を資産の増加に充てたケースです。
次に、1年間事業をして10,000,000円の利益を得て、その全額を負債の圧縮に充てたケースです。
これらの変化からわかる事は、利益を出すという事は、会社の資産が増えるか負債が減るかという事と結びついているということです。
利益は現金の増加と結びついているのではなくて、何らかの資産の増加、あるいは何らかの負債の減少と結びついているということです。当然、現金預金も資産の一部なので、利益が出ることによって、現金預金が増えることもあるでしょう。でもそれは一部に過ぎないということです。
借金の返済に充てた、設備投資に充てた、在庫に充てた、有価証券の購入に充てた、土地の購入に充てた、いろいろなものに利益を変換させているのは無意識であっても経営者の意思決定のたまものです。
当然、その中には納税資金の確保というものも含まれていなければいけません。
このように考えると、不必要な節税に走るというのがどういうことかということも分かるようになります。
何もしなければ10,000,000円の利益が出たのに、納税を嫌って3,000,000円の節税をした。それは、純資産の部の増額を拒否した、つまり、債務の圧縮の機会や設備の購入の機会、キャッシュの留保の機会を放棄したということなります。
稼いでも現金は増えない
稼いでも現金は増えない
これが現実です。でも、純資産を増やしていけば、確実に会社の財務体力はつきますし、選択肢が増えます。
上の貸借対照表の図から、純資産が増えなければ、借入も増やせないし、設備投資もできなことがわかると思います。
利益を出しながら、その利益の配分先を意識的にコントロールしていくことができれば、試算表や決算書の有用性もグッと高まります。
資金繰りをコントロールするというのは、貸借対照表をコントロールするということでもあります。
このようにとても重要な貸借対照表の読めない経営者はしんどい思いをすることなります。
これから起業される方は、改めて数字を管理することの大切さを認識していただければと思います。
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